1.はじめに

年が改まり、21世紀となった。これからの1世紀が我々人類にとって輝かしいものとなるのか、はたまた暗く多難なものとなるのか、軽々には占えないが、たゆまぬ努力が求められていることだけは明らかである。
振り返ってみれば、20世紀は人類文明が飛躍的に発展した100年であり、内外の社会的、経済的、科学技術的発展には目をみはるものがある。特に通信技術の進歩は、大量の情報を瞬時に伝達することで我々人類社会に多大の貢献をするとともに、地球規模の劇的変化をもたらした。それは否応なく国際化を推進するものとして構造変革の大きなうねりを呼び、滔々とした流れはもはや止めようのないものとなっている。
東京税理士会では、急速に進展する国際化とこれに伴う当面の諸問題に対応するため、先に国際部を新設し精力的に法律や諸制度の調査研究を推進してきた。平成10年9月にはドイツ、フランス各国を歴訪し、税制度およびその周辺の法律制度や実務の実態などを精査するとともに、その結果を報告書としてまとめ会員各位にお届けした。それは斯界をはじめ広く社会に貢献したものと自負している。
今回は一転方角を変え、去る平成12年10月4日から平成12年10月12日まで前後9日間の日程で、米国サンフランシスコおよびロサンゼルスに赴き、現地会計専門家と各テーマごとに懇談する機会を得、彼の地の現状をつぶさに見聞し充実した質疑応答を重ねることができた。
特に私の担当である職業賠償責任保険制度については、カリフォルニアE.A.協会(California Society of Enrolled Agent)ウォルター・クレコヴィスキー氏他の懇切丁寧なご解説を仰ぐとともに豊富な資料のご提供をいただき、おかげで大変意義深いものとなった。ここに記して厚く御礼申し上げる。
調査結果については以下に順次紹介していくが、日米両国の歴史、国民意識、立法・行政の仕組み等を理由とする相互理解の難しさがあったのも事実であり、必ずしも十分な成果が挙げられなかった点も多い。

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