3.アメリカの現状

(1)「専門家」の意義

「専門家責任」"professional liability"というと、やはり「専門家」"professional"の意義が問われることとなる。そこで、まず、アメリカにおける「専門家」概念について簡単に見ておこう。
今回の渡米に先立ちインターネットで現地情報を収集したおり、professional liabilityという言葉が大変よく見かけられ、専門家に対する賠償責任保険も極めて多く売り出されていることがわかった。仔細に見ていくと、ここでいうプロフェッショナルとは、弁護士、公認会計士、医師、建築家等、特殊な資格や技術を持つ者を広く「専門家」と理解しているようであり注1、この点は基本的に日本と同じである。しかしながら、専門家責任賠償保険でいう「専門家」はこれとは趣を異にしている。どういうことかというと、専門家責任賠償保険では「専門家」概念を定義せず、「専門家サービス」概念を定義することで、「専門家」を必ずしも特殊な資格や技術を持つ者だけに限定していないのである。当初私の理解が進まなかったのは、そのためもあるのであらかじめ指摘しておきたい。後に詳述する。

注1 公益組織PLAN(the Professional Liability Agent Network)に見られた例として、他にエンジニアや環境コンサルタントなどがあった。

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