HOME 税理士の方へ 国際部レポート 2000年 米国調査研究視察報告 参考Ⅰ 契約書(Engagement Letter)のフォーム

参考Ⅰ 契約書(Engagement Letter)のフォーム

  1. "Guide to ACCOUNTANTS' LEGAL LIABILITY AND RISK MANAGEMENT"Practitioners Publishing Company
  2. "CPA's Guide to Effective Engagement Letters"Ron Klein,Ric Rosario,Suzanne M.Holl
  3. 「アメリカ合衆国の税務業務 財務省通牒230号1986年3月改正」財団法人 日本税務研究センター
  4. "Professional Liability"KPMG LLP
  5. 「財務省通牒第230号 1994年」
  6. 「アメリカ公認会計士協会 会計士行動規程」飯塚毅監訳 小関勇、 柳田清治共訳
  7. 「米国税理士」岡田一郎著 エヌピー通信社

※参考文献1.2.4の翻訳については、著作権者の了解を得るようにしたが、それは本報告書を作成するためであり、書籍を出版するために著作権者の了解を得たものではない。そのため、本報告書の日本文を引用するときには、原典を確認するとともに、翻訳者の了解を得て、ご自分の責任でもってお願いします。また翻訳文を有料にて出版することについては、著作権者の許可を受けておらず、許可を要することをご承知下さい。

KPMGデニス・マロイ氏の略歴

米国公認会計士、弁護士。

南カリフォルニアKPMGLLP日本部門のインターナショナル・タックス・パートナーで、20年の経験を持っている。多国籍企業の海外及び米国内への投資を担当している。
以前は東京のKPMGで税務部門を4年間担当した。

(高屋 千鶴子 担当)

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「公認会計士のための効果的な契約書の作り方」CPA's Guide to Effective Engagement Lettersに記載されている契約書の雛型は以下の通りである。

1.個人の所得税申告書作成

日付
クライアント名
クライアント住所

顧客名 様

私共は貴方と仕事をする機会を得ることを感謝します。私共の間で誤解の可能性を少なくする為に,貴方に提供するサービスについて適切な情報を提供します。
私共は貴方の年分の連邦および州の個人所得税申告書を、貴方から提供された情報にもとづき作成し、外部のコンピュータサービスと共同して電子処理をします。 私共は貴方に対し、いくつかの情報について確認するための質問をすることがありますが、貴方の提供した情報について監査することはなく、 そしてその資料の正確性を確かめることもしません。 私共は、私共に支払われる報酬が少なくてすむように、貴方が私共のために必要な情報を集めて、整理する手助けをするための質問状をお渡しします。
私共は貴方の申告書を  年4月15日までに完成させることを確実にするには、  年 月 日までに申告書を作成するためのすべての情報を受け取らなければなりません。 もし私共が貴方の情報全部を  年 月 日までに受け取ることが出来ず、  年4月15日までに申告書が完成しなかった場合は、 貴方は期限後申告をすることになり、期限後申告の罰金を支払うことになります。
貴方は、貴方の記録の中に、税の申告書の作成に使用した資料を立証するために必要な書類を保管する責任があります。 書類には車、旅費、交際費に限ることなく、年間 $を超えた慈善の寄付金を立証するために必要な書類や関連費用を含みます。 もし貴方が必要とされる記録の形式について、わからないことがあれば、その点に関して私共に助言を求めて下さい。 また完成された税の申告書を税務当局に署名して送付する前に、注意深く点検し確認することも貴方の責任です。 控除が認められずまたは証明書類が不適切で控除が認められない場合に私共は責任を負うことはなくその結果、税額が生じたり罰金や延滞利息が生じたとしても責任を負うことはありません。
私共は上記に掲げた申告書だけを作成する義務があります。報酬は税務当局による質問や税務調査に応ずることを含んでいません。 しかし私共は貴方の代理人になることも出来ますが、そのようなサービスの報酬は私共の標準の時間あたり報酬とし、別の契約書で行うことになります。
私共は、税法上その適用が正しいと認められる根拠が不明瞭な場合には貴方に有利な様に問題解決をする判断をします。 私共は適用可能な税法が不明瞭であるか、または当局〈税務代理人と裁判所など〉によって法律の解釈に不一致があることに気づいた場合は、いつでも、申告書に対して、起こり得る事態を説明します。 私共は公布されている法律、通達、解釈に従っている限り、貴方の希望する立場を応援します。 もしもIRSが後になって、貴方のとられた立場に反対の立場をとった場合には、追加の査定の税金と利息と罰金が賦課されることもあります。 私共はそのような追加の罰金や査定額にたいする債務について引き受けることはありません。 「選択:連邦法はクライアントとそのCPA間のいくつかの、しかし全部ではなく、そのコミュニケーションについて弁護士―クライアントの守秘特権が認められています。 その特権は、連邦裁判所においてIRS,または米国政府にたいし申したてたり申し立てをされた犯罪に関係しない事柄に限ってだけ適用されます。 税金に関する助言を行う場合、そのコミュニケーションに関しては特権が適用されます。税金の申告書の作成を行う場合、そのコミュニケーションに関しては守秘特権が適用されません。 さらに貴方のconfidentiality privilege(守秘特権)は、もし貴方が融資を受けている団体、友人或いは商売仲間のような 第三者に対してそのprivilege(特権)の適用のあるコミュニケーションの中身について討論するならば、不注意に特権が放棄されることになります。 私共は貴方が第三者に対しprivileged information(守秘特権)のあるコミュニケーションを公表する前に私共へ連絡することをおすすめします。 もしも私共が法律によりそのコミュニケーションの公開を要求されない場合に、守秘特権のあるコミュニケーションの公開を依頼された場合は、貴方が、 そのコミュニケーションに守秘特権があることを主張する機会をもつまで、私共はそのコミュニケーションの公開をしません。 貴方は、守秘特権があるものとして、いくつかのコミュニケーションをまもるための訴訟の結果、私共がこうむった弁護士費用を含めて、 いかなるそしてすべての理由のある費用を支払うことに同意します。」貴方の申告書のコピーは7年間保管され、その後処分されるのが事務所の方針です。 サービスの報酬は私共の1時間当たりの標準レートによるものに、コンピュータ処理料および現金支払いをした費用が加算されます。 サービスに対する支払いの期限は、サービスが行われた時が期限となり、仕事が進行するにしたがって中間の請求が出され、費用については支払ったときに請求されます。 事務所の集金の方針に従って、支払期限が 日も過ぎている顧客については仕事を中止する権利をもちます。 両者の間で争いが起きたときは、両者は誠意を持って最初に「専門的会計および関係サービスの争いための規則」にしたがい 米国仲裁組織(AAA)が行う調停によりその争いを終わらせるよう試みることに同意する。解決しなかった争いのすべては、AAAの規則に従って最終で、 そして拘束力のある仲裁により決定される。 調停者、仲裁者またはAAAにより請求される費用は関係者すべてにより均等に負担するものとします。 仲裁に対する同意には、私共およびクライアントの両者は、会計士により請求された報酬についての争いに関しては、 それぞれがその争いを裁判官や陪審員の前での裁判で決定させる権利を放棄し、代わりに解決のための仲裁を使って、受け入れることを承認する。 もし上記について貴方の理解をいただけるならばこの同封した契約書のコピーに署名をして返送してください。 私共はクライアントになって下さることをうれしく思っており、長くお互いに満足できる関係を期待しています。

敬具
会計士名
会計事務所名承認しました:
クライアント名日付

(以上 仮訳)

2.その他の記載条項の解説

場合によっては以下の事項を追加することが可能である。

  • 延滞金の請求 Late charge
    延滞金は法律的に認められる。高金利を取ってはならない。しかしながら月1%または年利10%程度の妥当な率であるべきである。支払期限が過ぎてから延滞金の計算ははじめられる。法律上の利息ではない。
  • 報酬の着手金
    仕事に先立ち着手金を請求することが出来る。クライアントの支払いの習慣が過去においてよくない場合、後の報酬についての争いを避けるためにこの契約を使用する。着手金は最終の請求金額に当てられ、最終金額を超えた場合は超えた部分は返金される。
  • 契約の実行中に 状況の変化があった場合
    予想されない情勢の変化により、最初の報酬の見積もりに影響があると考えられる場合に、報酬の変更ついてクライアントの了承を得ることが出来る。
  • 賠償責任の限度額
    この条項は会計事務所とクライアントの両者が協議して同意した場合に記載できる。「一定金額、または受け取った報酬金額の 倍の額、のいずれか大きな金額を会計事務所が負担する賠償責任の限度額とする」との条項を記載できる。(ただしこの条項は、自動的に挿入すべきものではなく、専門家と相談してから行うことが望ましい。またSECは上場会社に関してはこの条項の使用を禁止していることに注意す べきである。)176p参照

(以上 仮訳)

※上記1及び2の契約書の翻訳については、著作権者の了解を得るようにしたが、それは本報告書を作成するためであり、書籍を出版するために著作権者の了解を得たものではない。そのため、本報告書の日本文を引用するときには、原典を確認するとともに、翻訳者の了解を得て、ご自分の責任でもってお願いします。また翻訳文を有料にて出版することについては、著作権者の許可を受けておらず、許可を要することをご承知おき下さい。

3.法人税申告書作成契約書(報酬部分の抜粋)

日付
会社の代表者名
会社名
会社の住所
代表者様
報酬部分の抜粋  サービスに対する報酬は私共の標準の1時間当たりのレートで計算され、仕事が進行するに従って請求されます。請求書は月ごとに送られ請求書を受け取った日が支払期限です。もしも、請求書について45日以内に支払いを受けなかった場合は、支払いの遅れている部分を支払っていただくまで、すべての仕事は中断されます。 敬具
公認会計士の氏名
事務所の名称
承認しました:
会社の代表者名
会社の名称
日付

4.パートナーシップの申告書作成契約書(報酬部分の抜粋)

日付
パートナーシップの代表者
パートナーシップの名称
パートナーシップの住所
パートナーシップの代表者様
報酬部分の抜粋
サービスに対する報酬は私共の標準の1時間当たりのレートで計算され、仕事が進行するに従って請求されます。請求書は月ごとに送られ請求書を受け取った日が支払期限です。もしも、請求書について45日以内に支払いを受けなかった場合は、支払いの遅れている部分を支払っていただくまで、すべての仕事は中断されます。
敬具
会計士氏名
会計事務所の名称
承認しました。
パートナーシップ代表者
パートナー氏名
日付

(以上 仮訳)

※ 上記2及び3の契約書の翻訳については、著作権者の了解を得るようにしたが、それは本報告書を作成するためであり、書籍を出版するために著作権者の了解を得たものではない。そのため、本報告書の日本文を引用するときには、原典を確認するとともに、翻訳者の了解を得て、ご自分の責任でもってお願いします。また翻訳文を有料にて出版することについては、著作権者の許可を受けておらず、許可を要することをご 承知おき下さい。

(高屋 千鶴子 担当)

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