Ⅳ.米国公認会計士協会の紹介
1.AICPAの加入資格
- 州委員会による有効なCPAであることの証明
- 統一CPA試験に合格
- AICPAの継続専門研修の要件を満たす。パブリック・プラクティスを行う者は、3年間に120時間で、1年間に20時間以上の研修を要す。非パブリック・プラックティスを行う者は、3年間に90時間で、1年間に15時間以上の研修を要す。引退した者や会計士の仕事を離れた者は、継続研修の義務が免除される。
- パブリック・アカウンティング等を行う場合、協会が行う監視プログラムに登録された会計事務所での業務であること。
- 理事会でメンバー資格の見直しがある。
- メンバーは、AICPAの定款、専門家行動基準(Code of Professional Conduct)を守ることに同意しなければならない。
2.AICPAの会員数
1987年 | 1991年 | 1995年 | 1999年 | |
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総会員数(学生等除) | 254,910 | 301,410 | 323,779 | 338,635 |
会計事務所等 | 47.6% | 43.2% | 40.7% | 39.5% |
会社勤務 | 39.5% | 40.7% | 41.7% | 46.2% |
教育部門 | 2.8% | 2.8% | 2.4% | 2.4% |
政府部門 | 3.4% | 3.9% | 4.4% | 4.3% |
引退者 | 6.7% | 9.4% | 10.8% | 7.6% |
会計事務所勤務数 | 121,349 | 130,078 | 131,887 | 133,036 |
一人CPA事務所 | 25.6% | 24.1% | 23.2% | 22.8% |
2-9CPA事務所 | 34.0% | 35.2% | 36.5% | 34.7% |
10人超CPA事務所 | 15.5% | 18.8% | 20.4% | 21.6% |
25大規模事務所 | 24.9% | 21.9% | 19.9% | 20.9% |
なお、AICPAは、ライセンスのある公認会計士が加入しなければならない強制加入団体でないので、米国の公認会計士の数については、正式の統計数はないが、推定で、公認会計士のうち4分の3がAICPAへ加入しているのでないかと言われている(AICPA HP FAQ List 2 of 20)。そうすると、全米で約44万人の公認会計士がいることになる。
3.AICPA協会の目的 注4
- 全米の公認会計士を団結すること。
- 高度な職業遂行規準を促進させたり維持すること。
- 職業参画のための規準を維持することに助力すること。
- 公認会計士の利益を促進すること。
- 会計士研修の発展と実施すること。
- 米国公認会計士と海外の職業会計士との友好関係を進めること。
4.AICPA会員の懲戒処分 注5
AICPAの会員になるにあたっては、職業行動基準、定款を守ることに同意する。定款は、条項を実行あらしめるための組織として職業倫理部門を置く。倫理部門は、定款条項の違反に関して知ったとき、適正手続により、そのことを調査するときには、調査で発見された事実に基づくこと、内密の懲戒行動であること、会員の権利の停止や剥奪で解決すること、聴聞に関しては、訴訟部門のパネルにかかること。会員が聴聞パネルで違反が確定したり、停止や除名が確定したときには、AICPAの広報(The CPA Letter)で会員の名前を公表する。
州の取締り機関である会計職委員会(Boards of Accountancy)は、公認会計士に業務ライセンスを発行する。この"Boards of Accountancy"だけが、ライセンスを有効なものとすることができる。これらの州の取締り機関は州法、州規則、制定法のもとで、業務ライセンスに影響させる懲戒処分を行う。また、証券取引委員会、州政府機関は、連邦法や連邦規則のもとで、これらの機関に関する業 務を行う公認会計士を懲戒する。
5.会員権の停止と懲戒処分 注6
- 辞任と復帰
会員は、書面によりいつでも、会員をやめることができる。辞任と会員への復帰は、理事会で行われる。会員の辞任は、その会員が職業倫理部門の調査にかかっている場合、訴訟中の場合には、辞任できない。その者が調査や苦情により辞任が受け入れられた場合には、理事会は、理事会の同意や訴追委員会の同意なしには復帰できない。(BL Section710R) - 財政義務に対する支払いのない場合、会員維持要件を充足しない場合の会員権の停止理事会は、支払期限から5ヶ月内に支払わない会員については、その裁量により会員権を一時停止する。業務のモニタリングや継続研修を受けない場合にも会員権を一時停止する。諮問会は、聴聞がある場合とない場合があるが、訴追委員会に処分を求める。(BL Section720)
- 聴聞のない会員権の停止
以下の事項は、聴聞手続なしで公認会計士協会の書記(secretary)に提出され、会員権が一時停止される。一時停止に該当する事項は、1年以上の禁固刑、所得税申告書を故意に提出しない場合、脱税した申告書の提出、依頼者の脱税所得税申告の作成・提出に故意により係わった場合である(BL Section730-7.3.1)。政府機関による懲戒手続による、公認会計士としての認証、会計士業務を行うためのライセンスや許可に対して、一時停止の処分が行われる場合には、会員権は、聴聞なしに一時停止される(BL Section730-7.3.2)。しかし、聴聞手続のない会員権の停止処分に関して、訴追委員会の聴聞パネルに会員を召喚することを妨げない(BL Section730-7.3.3)。 - 訴追委員会による会員の懲戒
訴追委員会の聴聞パネルは、3分の2の出席と投票により会員を除名することができる。或は、過半数の出席と投票により、(c)の一時停止期間を含まないで、2年を超えない期間の範囲内で会員をやめさせる。或は、以下の事項に該当する場合には、諮問会が会員を除名することができるとする制裁よりも低い制裁を課すことができる。以下の場合とは次の場合をいう。会員がプ ロフェショナル行動遵則やこの定款を犯す場合(BL Section740-7.4.1)、犯罪を犯したと資格裁判で明らかにされた場合(BL Section740-7.4.2)、プロフェッションに対する不信行為を働いたことが処罰の対象になると訴追委員会の聴聞パネルで明らかにされ、或は、プロフェッションを不信にさせる犯罪と疑いしめ、モラルの堕落や上記の7.3.1で除名が相当とする罪を含む刑事裁判でその者が罪があるとされ、訴追委員会の聴聞パネルで過半数により認定された場合(BL Section740-7.4.3)、資格裁判で狂気であると或は資格になじまないと明らかにされた場合(BL Section740-7.4.4)、政府機関による制裁処分として公認会計士の認証の取消、会計士業務のライセンスや許可の取消、一時停止、廃止、退会に該当する場合(BL Section740-7.4.5)、職業倫理部門からの質問や職業倫理部門の一委員会からの文書による求めに対する返答をしないことによって会計事務所の所有者や従業員への懲戒処分調査に協力しなかったり、或は、職業倫理幹部委員会によって必要なこととして決定された教育的、矯正的な行動に質問書の期限から30日以内にしたがわなかったり、協会の記録されている住所に配達された配達証明郵便によって、継続研修の受講や正しい行動にしたがわなかった場合(BL Section740-7.4.6)
注4 AICPA Bylaws"BL Section 101 Name and Purpose"1998年1月12日改正
注5 AICPAホームページ "frequently asked questions about the aicpa"の"12 of 20"
注6 AICPA Bylaws "BL Section 701 Termination of Membership and Disciplinary Sancions"