Ⅱ. EA協会の訪問、EAの説明

EA:Enrolled Agent・登録代理人

(1)EA協会訪問  2000年10月5日 サンフランシスコ

2000年10月5日 サンフランシスコのサクラメント市にあるカリフォルニアEA協会を訪問しました。EA協会の会長Mr. Sal Romo Jr.さん、副会長のJim Southwardさん他協会のスタッフを交え、EA制度等についての説明を受けた。
そこで、今回のテーマである合衆国の税務援助制度に関して2~3の質問に答えていただいた。

IRSのVITAプログラムについてお聞かせ下さい。

会長 Mr.Sal Romo Jr.
「IRSのVITAプログラムは、低額所得者や高齢者の方の無料のサービスであります。通常、このVITAプログラムに関し手伝いをする者は、EAやCPAの専門家ではありません。大学で、会計を勉強している学生であるとか、軍のOfficerがおこなっています。若い人も多く行なっています。
私どもEA協会は、このような人の教育にあたっています。
そして、このプログラムではっきりしているのは、納税者が無料のサービスを受けることが出来るということで、対象者が低額所得者や老人となっていることです。私ども協会では、訓練に充てるテキストブックがあります。
そして、このVITAプログラムで作成する申告書類は、1040(ten-forty)や1040Aの簡単な申告書しか作成しません。
また、このVITAプログラムと同じように国際的なものがあり、これをVECTA(ベクタ)と呼んでいます。」

「EA協会は、EAに対しどの様に研修制度を行っていますか。 先ほど、ご説明があったボランティア活動をすることによって研修のクレジットを取得することができますか。」
「まず、研修でございますが、私どもは、いろいろなセミナーとか、EAの免許更新のための教育セミナーを行っています。
また、EAになりたい人のために、EA準備コースといったものもあります。
その他年間に1回、3日間にわたりスーパーセミナーを行っています。これはネバダ州のリノで行っており、各EA支部では、年間2~3日国会等を通過したUpdateの法律の研修も行っています。
それから、VITAプログラムでトレーニングのために教育者としてあたっているとか、トレーニングに参加して何らかの形で従事している場合にはクレジットとなります。われわれが、このVITAプログラムに参加している一つの理由に、年間30時間の研修時間、その中の時間に充てられることになっているからです」。

(2)EAのレクチャー  2000年10月6日 ロサンゼルス

2000年10月6日 ロサンゼルス、ニューオータニにおいてEAの業務実態等に関連して、IRS出身のEAスタンリー・キノさん、フランシス・ズニーガさんから、カリフォルニア州公認会計士長島信男氏を通訳に、IRSの税務援助プログラムについての説明を受けた。

長島信男氏:
「次ぎにTaxpayers Assistance、これはIRSが納税者に提供している納税者のための税務援助のいろいろなプログラムですが、これをスタンリー・キノさんに説明していただきます。

スタンリー・キノ氏:
「IRS(内国歳入庁)が出している様様な納税者に対する援助の方法としてVITAプログラムがあります。Volunteer Income Tax Assistanceといいますが、税務当局は、30年位前に、ボランティアを集め、彼らに教育をして、低所得の人や高齢者の人の申告書を、基本的に無料で作成するサービスです。
最初のうちは、IRSに勤めている職員を派遣して、それぞれのコミュニティーでの無料奉仕サービスとして始まりました。
また一部、非営利団体の場所を使用してこのプログラムが実施されていましたが、そのうち非営利団体に勤めている人にも教育しながら、彼らに手伝っていただきました。
こうして、非営利団体のボランティア人々も、低所得の人々、高齢者の人の申告書を作成するようになりました。
歴史的にみて、低所得の人、高齢者の人は、申告書を出さない人が多く、「わからない、面倒くさい」といって、申告書が来ても、「いいよ関係ない」というと言うのです。
しかし、このような人々に、申告の援助を通じて、正しくしてあげる。もしかして還付の人がいるかもしれない。それが、このVITAプログラムの目的であるからです。
最初は、非営利団体の場所を借りてやっていたが、最近はショッピングセンターの所でもやっています。
ボランティアの教育については、基本的にIRSの担当官がいろいろな人に教育をしており、16時間のトレーニングを行っています。
このトレーニングでは、すべての書式は、そこで提供され、技術的な質問事項に答え、実際に申告書を作って、作成できるようにします
また、一部IRSのサービスセンターでは、これを今、コンピュータを使った電子ファイリングによる申告を始めています。
このVITAプログラムでは、1年間に350万人くらいの申告書をアシストしています。
また、大体7万4千人のボランティアが参加し、5、000ヶ所くらいの場所で活動をしています。」

長島信男氏:
「スタンリー・キノさんは、以前VITAプログラムのIRSの最高責任者としてやっていたことがあります。ロサンゼルスのリトルトーキョーのセクションで4~5年やっていたことがあります。以前、彼がVITAプログラムを担当していたころ、私も興味があったのでボランティア活動に参加して、彼のトレーニングを受けた記憶があります。その頃、実際にわからないながらも、10くらいの申告書を作成した記憶があります。」

スタンリー・キノ氏:
「これは、すごく良いプログラムであると思います。無料であるということで、低所得者や学生に利用されています。ただ、低所得者であっても、資産を持っている人もいるわけで、そういう人にはできるだけやらないようにしています。このVITAプログラムはそのような目的ではないので、やらないようにしています。その他にいろいろなプログラムがありますが、たとえばTax Counseling for The Elderly Program、これは、基本的に60歳以上の方のシニアシティズンのための税務相談、こういったサービスも行っています。実際にシニアシティズンの人の税務相談については、国以外の慈善事業団体からファンドを受けて、そのファンドで運営されています。

「日本では、税務に関しては税理士の独占業務となっており、われわれ税理士が税務援助を行っていますが、合衆国ではどうでしようか。」
「多分、会計士の人は、あまり参加していないと思います。ほとんどは学生が加わって行っています。会計士の人の参加はありえますが、少ないと思います。」
「税務援助を受ける対象者と対象者以外の人の判断はどうやっているのですか。」
フランシス・ズニーガ氏:
「基本的にインタビューをして、例えばどんな資産があるのですかとか質問して、そのインタビューの結果で、ボランティア自身の判断によります。例えば、納税者のお年寄りのカップルがいまして、厚生年金をもらってはいるが、実はアパートを何棟も持っていたりして、そういう人には、それはやりませんと言います。」
「援助するか、しないかの明確な基準というものがありますか。」
スタンリー・キノ氏:
「明確な取り決めはありませんが、ボランティアがインタビューをしてこの人はやる、この人はやらないということです。」
「低所得者というのは、だいたい年収でどのくらいなのでしょうか。」 
フランシス・ズニーガ氏:
「年収は、年間3万ドルくらいかどうかがラインです。このVITAプログラムは、低所得者のいるエリアで多く実施されます。例えばロサンゼルスの場合、イーストエリアにおいて行なわれます。ビバリーヒルズから車で来て、申告書を作ってくれと言う人は、ほとんどいないでしょう。」
「納税者に対し呼び出しとか宣伝というものはあるのでしょうか。」

フランシス・ズニーガ氏:
「IRSからの呼び出しはありません。納税者が自主的に、このプログラムを受けるために来ます。ラジオやテレビで、こういうのがありますよ、こういう場所ですよと、宣伝します。日本人向けのテレビにも出していますよ。」

長島信男氏:
「私が30年前にここに来た時には、学生でしたが、日本人、日系人というだけで信用されました。ここにいるスタンリー・キノさんと出会い、彼がIRSで勤務していたときに、箱でも片付けてみようと言う事で、ボランティアに参加しました。お年寄りが来て、50年も60年も米国にいるのに、英語も出来なく、何もわからない人がいる。申告書を作成して、それでお金持ちとわかったりしました。利息収入で私の年収の3倍もあったりして。もっとも、学生であった私は、収入が0に近かったですが。(笑い)また、大学を卒業して仕事を探すときに、たとえば会計事務所の仕事を探すときに、履歴書、resumeレジュメというのですが、を書くときに、その中にVITAプログラムをやりましたと書けるのです。それで相手に対し、ちょっと心証が違う。こいつは税金に興味を持っているなとか。それが絶対条件ではないのですが、一つのプラスにはなりました。」

「ボランティアには、交通費位は出るのですか。」
スタンリー・キノ氏:
「基本的には交通費も出ません。最後に、VITAプログラムで扱う申告書は、簡単な申告書です。一般的な簡単な申告書しかやりません。しかし一部の所では、Eファイルによりアシストをすることがあります。」
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